化学物質の生態リスク評価 : その来歴と現在の課題(<特集>我々は「生態リスク」とどう向き合うのか?)
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概要
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欧米では「ecological risk assessment」という用語は「化学物質の生態リスク評価」のことを指すことが多い。その理由は、歴史的に「生態リスク」という概念が元々「化学物質のリスク評価」の中から誕生し発展してきたことにある。本稿ではまず前半において、「生態リスク」という概念が生まれてきた歴史的な経緯についての概説を行う。また、その歴史的な経緯から「生態リスク」という概念が帯びている「行政の意思決定に寄与する」「不確実性の存在を前提とする」「人間活動との兼ね合いを調整する過程の一端を担う」という特徴的なニュアンスについての説明を行う。本稿の後半においては、現在実務レベルで行われている「初期リスク評価」および「詳細リスク評価」の解説を行う。さらに、生態リスク評価における現状の取り組みと課題について「生態学的に妥当なリスク評価・管理へ」「漏れのないリスク評価・管理へ」「総合的なリスク評価・管理へ」という3つの観点から整理を試みる。
- 2010-11-30
著者
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林 岳彦
国立環境研究所環境リスク研究センター生態リスク評価研究室
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岩崎 雄一
横浜国立大学 大学院環境情報研究院・学府
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林 岳彦
国立環境研究所環境リスク研究センター
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藤井 芳一
農業環境技術研究所
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岩崎 雄一
横浜国立大学大学院環境情報研究院:日本学術振興会
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