胎児診断された新生児卵巣嚢胞44例の検討とその治療戦略
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概要
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【目的】胎児診断された新生児卵巣嚢胞(以下本症)に関しては,未だ一定の治療方針が定まっていない.嚢胞の捻転・壊死率は高く,治療の目標は卵巣機能を可能な限り温存することにある.そこで当院で経験した本症を後方視的に検討し,具体的な治療指針を立案した.【対象と方法】1990年8月〜2010年2月までの44例を対象とした.嚢胞の評価は超音波(US)にて行い,嚢胞最大径と内部エコー像(simple cyst:SC or complex cyst:CC)を経時的に評価し,SCは卵胞嚢胞,CCは卵胞嚢胞の捻転・壊死と診断した.これら44例を生後初回US所見からSC群とCC群に大別し検討した.【結果】2例が出生時には嚢胞が消失していた.SC群は27例.2例が経過観察中にCCに変化した.18例で経過観察を行い.うち95%で生後1年以内に嚢胞の消退を確認した.9例(CCに変化1例.縮小なし4例.鑑別困難3例,有症状1例)に手術を施行した.CC群は15例.全例手術を行い.捻転・壊死(遊離嚢胞を含む)を確認した.本症の捻転・壊死は88%が胎児期から出生時にかけて発症していた.病理では捻転・壊死例でも嚢胞壁から原始卵胞が確認された.【結論】当院における治療戦略を述べる. 1)嚢胞の大きさに関わらず縮小傾向を認めるSCは経過観察とする.3cm未満は捻転・壊死率が低いため外来で,それ以上は入院とし,最終的には嚢胞が消失するまで経過観察する. 2)手術はCC,縮小傾向のないSC,鑑別困難例,wandering cyst,有症状例に行う.胎児期から密な観察を行い,SCからCCに変化して間もない症例は,生後早期の捻転解除にて卵巣温存できる可能性が高い.術式は腹腔鏡下嚢胞開窓術を基本術式とする.捻転後時間の経過した症例でも捻転解除を行い卵巣を温存する.
- 2011-08-20
著者
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福本 弘二
静岡県立こども病院小児外科
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漆原 直人
静岡県立こども病院小児外科
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福澤 宏明
静岡県立こども病院小児外科
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長江 秀樹
静岡県立こども病院小児外科
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渡邉 健太郎
静岡県立こども病院小児外科
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光永 眞貴
静岡県立こども病院小児外科
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長谷川 史郎
静岡県立こども病院小児外科
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長江 秀樹
聖マリアンナ医科大学小児外科
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三宅 啓
川崎医科大学小児外科
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渡邊 健太郎
東京理科大学大学院
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長谷川 史郎
太田綜合病院附属太田西ノ内病院 小児科
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杉山 彰英
静岡県立こども病院小児外科
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渡辺 健太郎
静岡県立こども病院小児外科
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光永 眞紀
静岡県立こども病院小児外科
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杉山 彰英
昭和大学小児外科診療グループ
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長谷川 史朗
静岡県立こども病院小児外科
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西口 富三
静岡県立こども病院周産期センター
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福澤 宏明
滋賀県立成人病センター外科
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長谷川 史朗
日本小児外科学会先進医療検討委員会
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西口 富三
静岡県立こども病院
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渡辺 健太郎
東京大学人工物工学研究センター
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渡辺 健太郎
石播
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三宅 啓
静岡県立こども病院小児外科
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渡辺 健太郎
大阪赤十字病院小児外科
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渡邊 健太郎
静岡県こども病院 小児外科
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渡辺 健太郎
東北大
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杉山 彰英
昭和大学医学部小児外科診療グループ
-
杉山 彰英
昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門
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長江 秀樹
聖マリアンナ医科大学医学部小児外科
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長江 秀樹
聖マリアンナ医科大学病院小児外科
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