1860年の合衆国北部における開墾の機会費用 : 生産関数の推定による接近
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概要
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論説(Article)開墾費用は、ダンホフやプリマックによって農場開設費用の一項目としてや、必要労働にかかる賃金支出の大きさとして推計されてきたが、本稿では開墾作業にともなう生産の減少による機会費用としての開墾費用の推計を行っている。主要な結論は以下の3点である。第1に、西部の五大湖周辺地域では少なくとも生産の5%、西部フロンティア地域では16%の開墾による機会費用が生じており、農民自身による開墾作業が行われていた。第2に、東部ではある程度開墾の役割が終了していたか、生産を減ずるような機会費用が生じないような開墾作業が行われていた。第3に、西部2地域では未開墾地保有農家が保有する生産要素や動産が全開墾農家よりも過少になる傾向にあり、第1の結論と併せて考えると、農民自身による開墾と開墾専門労働者による開墾とが併存していたことが示唆される。In Danhof's and Primack's articles, the land clearing/breaking costs―including the expenditure on labor―have been presented as among the factors of farm-making costs. This paper aims to estimate the land clearing/breaking costs as opportunity costs against agricultural production. The results of the analysis are as follows. (1) Opportunity costs existed in the Western States―at least 5% of the agricultural production in the Lakes States and 16% of the agricultural production in the Frontier States. (2) In the Eastern States, clearing was almost finished, or was done without opportunity costs as mentioned in Primack's work. (3) In the Western States, the labor used included both farmers and land laborers. This was because the holdings of personal property or some factors of the farmers with unimproved land were smaller than those of the farmers with fully improved land.
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