福島第一原子力発電所20〜30km圏域の被災者に対する歯科医療・口腔ケア支援における初動体制について
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概要
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長崎大学は福島県の要請を受け,福島第一原発の北側20〜30km圏域に位置する人口約7万の南相馬市において在宅の自力移動困難者および避難所住民を対象に,歯科医療・口腔ケアを行った.同地域は原発事故により自主避難,屋内退避区域に指定され,医療・介護従事者を含む70%以上の住民が避難したが,多くの高齢者・障がい者は残っていた.市町村が収集した159人の自力移動困難者のリストをもとに,2011年4月4〜9日,医師・看護師・行政からなる6チームが高齢者や自立度の低い者から巡回診療を始めた.巡回時に口腔内観察と歯科医療・口腔ケアニーズ調査票への記入を依頼し,それをもとに必要性の高い者や自立度の低い高齢者・障がい者から,歯科医師と歯科衛生士のチームが翌日訪問し,応急処置と口腔ケアを行った.巡回以外では圏域内の避難所を訪問したが,自ら症状を訴え治療を希望する者は少なく,自立度の低いと思われる高齢者等を中心に積極的に声かけを行い介入,口腔内を診査し口腔ケアと応急処置を行った.6日間で87人(在宅15人,62〜93歳,避難所72人,1.6〜93歳)に口腔ケアや応急処置を,また複雑な治療が必要な者には再開し始めた歯科医院への紹介を行った.在宅,避難所いずれにおいてもプラークが多量に堆積した者が多く,ほとんどの者に義歯の清掃を含む口腔ケアを実施した.行政や自衛隊の協力のもとに,医療巡回チーム→歯科医療巡回チーム→歯科医院とつなげることで効率の良い支援が実施できることがわかった.
- 2011-07-30
著者
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