日本の高齢者像-統計的素描-
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概要
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高齢社会に関する様々な言説においては, 高齢者が誰とどこでどのように暮らしているのかについてイメージの錯綜が見られる. 共通の認識に基づいた生産的な議論が展開できるよう, 65歳以上の高齢者の生活実態を実証的に明らかにする必要がある. 本稿で統計的に素描される項目は, 配偶者や子どもとの関係, 教育や就業を通じた社会参加, 所得・消費・貯蓄・住宅などの経済状況, 身体的自立の状況から疾病と医療, 介護と認知症に至る健康状態, 最終的な寿命と死亡にわたる. その結果, 約2,700万人に及ぶ高齢者をめぐる状況は極めて多様であり, 共約的な特徴を摘出することは簡単ではないことがわかる. しかし, 今後こうしたデータを蓄積して, 我が国の高齢社会の正確な位置づけを行い, エビデンスに基づく社会保障制度の改革と長寿社会への道筋を明らかにしていくべきである.
- 藍野大学の論文