頸部過緊張の緩和が,喉頭挙上の左右差を軽減させ,嚥下障害の改善に寄与した脳幹梗塞の2症例
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概要
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【目的】発症後1年が経過した,脳幹梗塞による重度嚥下障害を呈した2症例において,頸部過緊張の緩和が喉頭挙上の左右差を軽減させ,嚥下障害が改善したので報告する。【対象と方法】2症例は体幹失調,患側頸部過緊張,頸部可動域の左右差を来たし,甲状軟骨の患側偏倚,嚥下造影下で患側喉頭挙上の減少を認めた。これに対し,頸部・体幹のリラクセーション,バランス練習などを実施した。【結果】理学療法開始後,頸部過緊張は緩和し,可動域の左右差も軽減,甲状軟骨も正中に是正された。これに伴い喉頭挙上の左右差は軽減し,短期間で有効な喉頭挙上が得られた。症例1は退院後,頸部過緊張が再度出現し,喉頭挙上の左右差が増大,嚥下機能が低下した。そこで,患側頸部過緊張と嚥下障害の関連を検証するため頸部リラクセーション前後で比較したところ,直後では喉頭挙上の左右差が軽減し嚥下機能が改善した。【結論】脳卒中における嚥下リハビリテーションでは,頸部筋緊張の左右差や甲状軟骨の位置,喉頭挙上様式にも注意した理学療法が有効であると考えた。
- 2011-06-20
著者
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巨島 文子
京都第一赤十字病院急性期脳卒中センター神経内科
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巨島 文子
東京都第1赤十字病院神経内科
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今田 智美
京都第一赤十字病院看護部
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佐藤 文寛
京都第一赤十字病院リハビリテーション科
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野村 省二
京都第一赤十字病院リハビリテーション科
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木村 幸
京都第一赤十字病院リハビリテーション科
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