周術期自然免疫と免疫制御
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
自然免疫は感染防御に重要な役割を果たしている.外科的侵襲はさまざまな免疫能変化を惹起するが,術後の感染性合併症発生のリスク上昇に宿主の免疫能低下が関与している可能性がある.手術侵襲により執刀直後から術1日後までの間,自然免疫能低下が起こる.正常な患者では術1日後から自然免疫能は回復してくるが,自然免疫能の回復の遅れ,欠如は感染性合併症発生の原因となる.われわれは今まで,予防的抗生剤投与や患者の体温保持,高濃度の酸素投与などで手術部位感染を予防してきた.これから将来に向けては,患者個人の自然免疫能,炎症反応を制御すること,患者個々の免疫能制御法を確立することが重要となる.この総説では,手術侵襲による自然免疫能変化を概説し,術後感染性合併症発生を最小限にするための戦略として1.周術期免疫栄養により免疫能を維持する方法,2.低侵襲手術により手術侵襲によるストレス反応を抑制する方法を紹介する.
- 2011-06-01
著者
-
佐多 竹良
産業医科大学病院中央手術部
-
佐多 竹良
産業医科大学 麻酔科
-
川崎 貴士
産業医科大学 医学部麻酔科学教室
-
佐多 竹良
産業医科大学医学部麻酔科学教室
-
川崎 貴士
産業医科大学医学部麻酔科学教室
関連論文
- レノックス・ガストー症候群小児の全身麻酔経験
- 12.nicorandilのラットメサンギウム細胞増殖抑制作用
- 臨床経験 ミダゾラム,フェンタニル,ケタミンによる硬膜外穿刺時の疼痛緩和効果の検討
- Angelman症候群の麻酔経験
- 当院に搬入された院外心肺停止症例の検討
- 50.電送システムを用いて当院に搬入されたCPA症例の検討
- 蘇生・救急医学教育の一環としての救急車体験試乗実習 : 10年間のまとめ
- 慢性関節リウマチ患者の術前自己血貯血におけるエリスロポイエチン静注の有用性の検討
- 術中大量出血症例の血漿イオン化カルシウムおよび血漿イオン化マグネシウム濃度の検討
- 術中大量出血症例の輸液輸血管理
- 意識障害・呼吸不全の増悪に refeeding syndrome が関与した1例
- 職場における心肺蘇生法講習の実態と産業医の関心
- 左肺上葉切除中冠動脈スパズムを生じた1例
- LMA を利用した気管支ファイバースコープ観察下での気管腫瘍摘出術の乳児麻酔症例
- 24. G蛋白結合受容体に対する麻酔薬,アルコールの作用機序解明 (第16回産業医科大学学会総会学術講演会記録)
- Myotubular myopathy 患者の麻酔経験
- ムコ多糖症IH型 (Hurler 症候群) の麻酔経験
- ピットフォール : 気をつけたいロピバカインの副作用・留意点
- 静脈還流抵抗の恒常性とショック
- 45. 労働災害における化学物質中毒の情報提供のあり方 (第15回産業医科大学学会総会学術講演会記録)
- 麻酔専門医以外の医師によるコンビチューブ挿入成功率の検討
- 麻酔に伴う喉頭痙攣の予防とその治療
- 臨床経験 ProSeal LMAによる気道確保困難の発生頻度と対処法の検討
- 49.牛副腎髄質細胞における非麻薬性鎮痛薬ペンタゾシンのノルエピネフリントランスポーターに及ぼす影響(第28回産業医科大学学会総会学術講演・展示抄録集)
- 周術期自然免疫と免疫制御
- 周術期自然免疫と免疫制御