テラヘルツ天文学を切り拓く受信機技術(最近の研究から)
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概要
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サブミリ波・テラヘルツ帯は,宇宙観測において残された電磁波領域の1つである.この領域では,多数の原子分子のスペクトル線とともに低温の星間塵(ダスト)の熱放射が観測される.透過力の高さを利用して,宇宙における銀河形成,星・惑星系の誕生,およびそこでの物質進化の理解が格段に進むことが期待される.サブミリ波・テラヘルツ帯の周波数は,これまで受信機の周波数変換素子(ミキサー)に用いられてきた超伝導物質(ニオブ;Nb)のギャップ周波数を超えるため,実用的な高感度化か難しかった.しかし,より大きなギャップ周波数を持つ窒化ニオブチタン(NbTiN)薄膜の開発と微細加工技術を駆使することにより,量子雑音の3倍に迫る前人未到の高性能を実現した.受信機は南米チリに建設中のアタカマ大型ミリ波サブミリ波望遠鏡(ALMA)に搭載され,高分解能・高感度の「電波の眼」で新たな宇宙像を提供することに貢献するだろう.本稿では,ALMA計画の科学的背景とそこで用いられる超伝導テラヘルツ帯受信機について紹介する.
- 2011-05-05
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