地域における観光資源の析出・情報共有化--ユビキタス社会におけるアーカイブズとGISとの紐付け--
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概要
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かつて、日本語を用いたブログがインターネット上のブログの 3 割以上を超えるという報告がなされた (旧テクノラティ社のデータによる)。そもそも、情報発信は、いかなる動機でなされるのだろうか。コミュニティ誌、防災無線やケーブルテレビなど、自治体において 「地域情報化」 は長い歴史をもっているが、これらトップダウンによる情報共有のスタイルは、インターネット接続のコストダウンや PC の普及の影響を受けて変容してきている。すなわち、純粋な行政情報を除いた、生活に密着する情報、たとえば観光情報やグルメ情報などは、市民を交えた双方向の取り組み、あるいは逆方向に市民ベースの取り組みにとって代わられつつあると言ってよい。広告料収入などを当て込んだ商業ベースのソーシャルメディア以外に、ここで注目してみたいのは、「地域のミュージアム化」 という発想である。GIS (地理情報システム) 技術を用い、地図ベースの仮想ミュージアムを市民主体で構築するという例もある。地域の有形・無形の歴史・文化資産、人々の記憶、その語りまで含めると、資源化の可能性は、創意工夫次第で無限大に広がることになる。スマートフォンが普及した近年、GPS の活用も有効だろう。報告者自身の海外調査やアーカイブズの活用事例をあげながら、考察してみたい。
- 2011-08-29