固有名と記憶 (1)
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概要
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固有名は人間の記憶とどのように関わるのか。固有名は集合的記憶にどのような影響を与えているのか。本研究は、ヴァルター・ベンヤミンの初期言語論を主要な手がかりに、「固有名と記憶」について思索を進め、これらの問いに応えるものである。本論文は、本研究全体の第1部にあたり、まず、ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」の成立事情をショーレムとベンヤミンの記録により明らかにする。次に、このテクストの構成を確認する。その上で、言語と名・名づけの関わりについて解明を進め、固有名の理論へと至り、最後にベンヤミン独自の「翻訳」概念について考察する。この研究により、固有名としての人間の名は、神の言語と人間の言語の中間的審級であり、誕生とともに受け取られた所与であるとともに、永続的な創造の源泉であることが明らかになる。また、翻訳とは、神が人間に委託した通りに、人間が名なきものを名づけることであることが分かる。
- 2011-01-01
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