障害児の指導を発達論から問い直す : 要素主義的行動変容型指導を越えて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では,子どもの能力や特性を心身の機能ごとにとらえて,障害や困難の短期的な改善を図る指導のあり方を要素主義的行動変容型指導と規定した上で,その問題点を発達論の立場から批判的に検討し,人格の形成を目指す指導論において求められる発達論を提案した.最初に,要素主義的行動変容型指導が,新自由主義的な社会システムにおいて形成された「力」概念を前提にしたものであることを論じた.続いて,この種の指導を発達論からみたときの問題点として,(1)発達的変化をとらえる発達的スタンスの欠如,ならびに(2)能力獲得の意味を吟味する目標論の欠落を指摘し,これらの問題を克服するために発達研究が抱えている課題を提起した.最後に,研究課題をもちながらも,発達論は実践に対して,子どもの行動や実践的対応を問い直すメタ的視点を提供するという重要な役割を果たすことを論じた.
著者
関連論文
- 子どもの発達をめぐる最近の研究動向 : 認知発達研究に潜む問題点と教育実践
- 学校教育と子どもの「自己」の形成 : 教育心理学における「自己」研究の新たな視点
- 発達障害児の「自己」の発達と教育・支援(4) : 自己調整の発達と障害(自主シンポジウム59,日本特殊教育学会第45回大会シンポジウム報告)
- PG1-15 幼児期におけるMental Time Travel : 未来の出来事の生起確率に関する認識に着目して(発達)
- 共同注意と心の理論 (特集 乳幼児の共同注意)
- 障害児の指導を発達論から問い直す : 要素主義的行動変容型指導を越えて
- 幼児期における教示行為の発達 : 日常保育場面の観察による検討
- P5-42 幼児期における技能習得に関する素朴理論(発達,その他,ポスター発表)