子どもの発達をめぐる最近の研究動向 : 認知発達研究に潜む問題点と教育実践
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概要
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本稿では,子どもの認知発達にかんする研究の動向を歴史的に概観し,その理論的問題点について検討した.1970年代以降,発達心理学では発達の領域固有性と乳幼児の有能性が強調された.そうした研究動向と進化心理学的観点が結びついて,近年,生得的モジュール説が唱えられるようになってきている.この説は障害特性の理解やそれに基づいた教育実践に大きな影響を与えているが,次の3点で問題をもつことを指摘した.1・発達を連続的なプロセスとみなすメタ理論を基盤にしている,2・高次の心理機能も生得的に規定されているとする最終状態生得論に依拠している,3・機能連関や発達連関という視点が欠落している.以上の議論をふまえて,連関性をおさえた発達研究が必要であり,そうした研究を進めるための課題を提起した.
著者
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