ロックの貨幣数量説

概要

貨幣数量説の創始者の一人ジョン・ロックの理論を考察する。ロックは、貨幣の価値を「想像的価値」とすることで、貨幣価値の擬制性を明確にし、その決定を需給関係に依存するものとした。このことによって、貨幣量の増加が物価の上昇に帰結するという貨幣数量説が出来上がる。ロックの理論は、重商主義的な見解と貨幣数量説とが並存しているが、貨幣を富と考えその蓄積を目指す重商主義と、貨幣量の増加は貨幣価値の低下と物価の上昇をもたらすだけで富の増加ではないとする貨幣数量説とは、一般的には共存し得ない。しかし、当時、製造業の発展のためには「貨幣不足」の問題を解決する必要があった。ロックは、繁栄を極めていたオランダを政策目標としつつ、貿易差額による貨幣量の増加によって国内の交易を活性化させることと、貨幣量の増加によって生じると考えられる利子率の低下によって貨幣不足の問題を解決し、積極的に産業の活性化をはかることを企図していた。このために貨幣数量説と重商主義理論の双方がともにロックにとって不可欠の理論となった。

著者

奥山 忠信 埼玉学園大学経営学部

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