20世紀初頭におけるアカデミズムと部落問題認識 : 鳥居龍蔵の日本人種論と被差別部落民調査の検討から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,20世紀初頭の日本におけるアカデミズムにおける部落問題認識について考察するものである。その手がかりとして取り上げるのは,人類学者・考古学者の鳥居龍蔵によってなされた被差別部落民調査である。今日,鳥居龍蔵は東アジア各地のフィールドを調査した研究者として,また大正期のもっとも有力な日本人種論である固有日本人説を唱えた学者として有名である。しかし彼は海外のみならず,日本国内でも各地へ調査に赴いている。なかでも被差別部落に対する調査を精力的に行っていたことは,今日あまり知られていない。彼は人類学の観点から,東アジア圏の人種関係の解明という壮大なテーマのなかに部落問題を位置づけようとした。その理解は彼の固有日本人説とともに当該期の社会やアカデミズムに影響を与えたといってよい。本稿はまず,彼が国内で実施した部落民調査の概要を明らかにするとともに,これが彼の学問に与えた影響,さらにはその社会的反響について考察する。
著者
関連論文
- 座談会 兵庫県水平運動史研究の現在 (特集 兵庫県水平運動史研究の現在)
- 20世紀初頭におけるアカデミズムと部落問題認識 : 鳥居龍蔵の日本人種論と被差別部落民調査の検討から
- 昭和初期・徳島における観光産業振興と阿波踊り
- 5a-YK-4 Pd_3Co合金の磁気コンプトン散乱
- 昭和初期・徳島における百貨店問題と小売イノベーション(地域)
- 昭和初期・徳島における百貨店問題と小売イノベーション
- 消費社会への歴史的アプローチ(平成15年11月研究会,月例研究会 発表概要,10周年記念号)
- 「人種」概念と部落問題--国際シンポジウム「人種概念の普遍性を問う」(2002年)に寄せて
- 書評 朝治武『アジア・太平洋戦争と全国水平社』
- 書評 人種研究の深化 表象とリアリティのあいだ 『人種の表象と社会的リアリティ』竹沢泰子編
- 初期水平運動と佐野学--史料紹介「水平運動」(佐野学) (特集 近代部落史と人物)
- 兵庫県水平社と政治運動--1920年代を中心に
- 国民社会形成史のなかの水平運動 (特集 全国水平社創立80周年)
- 書評 黒川みどり著『異化と同化の間--被差別部落認識の軌跡』
- 改善運動と水平運動の論理的連関 (特集 第36回部落問題研究者全国集会報告) -- (歴史2分科会〔含 討議〕)