授業科目「映像理論と制作演習」の開発と評価
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概要
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現代において「映像」はあらゆる産業分野で利用されており, 私たちの生活にとって不可欠な存在になっている. 映像表現は,活字や画像によるイメージと同様に情報伝達の手段として一般化し, 映像制作の環境を柔軟に使いこなす能力や映像コンテンツを企画する能力が要求されている. 著者らは「映像理論と制作演習」の授業プログラムを開発した.「映像理論」では, 映像表現は静止画である「写真」を原理として創造されていることを学び,S. エイゼンシュテインのモンタージュ理論と溝口健二や黒澤明の映画作品の研究をすすめた.「制作演習」では, シナリオ作成, 撮影,VTR 編集,CG との合成映像, 音声編集等を行い, テーマをもった映像作品の制作と批評を行うことを目標とした. 学生による授業アンケートでは, 初年度2006 年の総合評価において, 満足している回答が80%であったが,「問題を発見し解決する能力がついた」と答えた履修生は0〜20%と改善が望まれた. その要因として, 技術的な指導に偏ったことや, 作品の構想や批評の後, 再度, 制作する時間が十分でなかったことなどがあげられる. 開講2 年目の2007 年度より, 現像実習と撮影実習を並列交互に実習し, 待ち時間を少なくすることや「, 構想, 制作, 発表」の課程からなる「60 秒のメッセージ映像」の作品制作を2 度行い, 初回は映像制作の問題発見を,2 回目はその解決を目指した. これらの改善後に授業評価を行ったところ,「問題を発見し解決する能力」について履修生の50% ,「社会的視野」では20%の向上を確認した. 一方, 作品制作のテーマ発見を促すに従い,「授業の内容は分かりやすいか」「与えられた課題に取り組む時間が十分にあったか」では, 改善を求める意見が10〜30%の増加を確認した. さらに,「授業が分かりやすいか」の傾向と「成績」の傾向の一致を確認し, テーマ策定方法など, 次回への課題を明らかにした.
- 2011-03-31
著者
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