マレーシアにおける低地多雨林の現存量と一次生産量
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概要
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熱帯における低地多雨林は,生物社会としでもっとも複雑であり,しかも豊かな森林群落といわれているが,その物質生産については未知なことが少なくなかった。1965年に国際生物学事業計画(IBP)が発足した際に,この未知の分野を埋めるために,熱帯地域の生物群集の生物生産についての研究の推進が要請され,その要請にもとづいて,1971年〜1974年にわたって,熱帯多雨林の総合的な調査研究が,マレーシアのパソー保護林においてマレーシア・イギリス・日本の3国共同で実施された。日本チームは大阪市立大学の吉良竜夫教授を長として,21名ものいろいろな分野の研究者が参加されたがそのうちこれから述べる森林の構造や一次生産量の研究に参加した研究者は次の12名である。吉良竜夫(大阪市大),矢吹万寿(大阪府大),穂積和夫(名古屋大),小川房人(大阪市大),依田恭二(大阪市大),只木良也(林試),佐藤治雄(大阪府大),桐田博充(草地試),小山弘道(大阪市大),青木正敏(大阪府大),米田健(大阪市大)の各氏および筆者である。筆者は現存量把握のための伐採調査に,予備調査と本調査の2回にわたって参加した。ここで報告するのは,1974年にクアラルンプールで開催されたマレーシアのIBP総合集会で日本チームの参加者によって報告された諸論文のうちから,現存量と一次生産量に関係した報告を取りまとめたものであり,森林立地懇話会の熱帯林業シンポジウムでその紹介を請われ,関係者の許しを得て紹介したものを取りまとめたものである。なお取りまとめにあたって,1975年のモスクワでの国際植物学会で依田等によって報告された論文を参考にさせていただいた。報告するにあたり原表,原図の使用をお許しいただいた大阪市立大学の関係者の方たちに対し,また,この稿をとりまとめるにあたって,ご助言をいただいた小川房人教授にあつく謝意を表する。いずれ調査の結果については最終的な報告がおこなわれるものと思うが,ここでは先に報告された数字をもとにして紹介するしだいである。
- 森林立地学会の論文
- 1976-10-15
著者
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