芸術と世界--ハイデガーの芸術論への一考察
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概要
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本研究の目標は、ハイデガーの芸術論を手がかりにしながら、芸術の本質、つまり、芸術とは何か(Was)という問いに対して、芸術作品はいかに(Wie)あるかという問いを対峙させ、さらにここから、芸術作品の創造とその享受を、単に比喩としてではなく、根源的な意味において「世界の開示」として捉える道を開くことである。そのために、『存在と時間』の世界論における被投性と気分の意義を再確認した上で、世界とは存在者の存在のあり方(Wie)として理解されるべきこと、進んで「芸術作品の起源」における芸術と世界との連関を明らかにした。芸術作品は、ある気分において世界を開示する。そして、それはまさに存在者のあり方を具体的に描出することによるのである。