貸金業における規制と自主規制 : 公正取引の可能性と不可能性(統一論題「消費者金融サービスと規制」)
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概要
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わが国の消費者政策の歴史は、1960年代から始った行政規制を中心とし消費者保護、1990年代に現われた消費者に権利を与える民事ルールの整備、そして21世紀に入って注目されるようになった市場を通じて企業の自主的取組みを促進するという手法の3つの波として整理することができる。行政規制のやり方は、事前規制から事後規制に、明確なルール設定と法令違反に対する厳罰へと変化してきている。民事ルールの機能は、裁判規範の面より、事業者に対して行為の指針を示すという行為規範の面が大きい。事業者の自主的取組みは、消費者のみならず、企業を取り巻く多様な利害関係者の利益をも尊重した経営、すなわち「企業の社会的責任」重視の方向に進んできている。消費者金融サービスを行う貸金業界もこの変化と無縁ではありえず、消費者や社会からの信頼なしには持続的な発展を維持できない。ただし、消費者金融サービスには、窮迫状態にある消費者に対してなされるという特殊性があり、そのため法律による一定の規制が必要になる。法律的規制の土俵の上で、リピーターのくる消費者金融サービスに向けた信頼獲得競争が行われることが必要である。2003年の貸金業規制法改正に際して新設された貸金業務取扱主任者制度がどの程度の效果を発揮するかが、この点を占う試金石となろう。
- パーソナルファイナンス学会の論文
- 2004-09-30
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