読みの交流過程における「教師発話」の機能と影響
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概要
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本研究の目的は,学習者が「教師の発話」をどのように受け止めるのかという点を分析するとともに「教師の発話」が学習過程にどのような影響を及ぼすことになるのかを明らかにすることである。そこで,実際の授業を取り上げ,「教師の発話」を起点として営まれるコミュニケーション過程を分析・考察した結果,次のような結論が得られた。(1)学習者の受け取めの実態からすれば,「教師の発話」の機能は,「発問」の機能を中心にして,「説明」や「指示」などの複数の機能を併せ持つ。(2)「教師の発話」は,学習者の反応に対して評価言を含みつつ,かつ学習者に対して自己の読みを確実に相対化させる機能を有するものである。また,学習者間の対話を活性化させ,学習者に学習内容の内省を行わせることになり,学習を促進させる機能を有している。(3)教師の発話様式の異質性によって,学習者の学習場面の異質性が意識されることになる。そして,その結果,より質の高いかかわり合いをとおした学習が遂行されることになる。以上,より質の高い国語学習を組織するためには,教師は,「発問」や「説明」により,学習者を導く実践を行うのではなく,効果的な発話を行っていくことで,学習の異質性を組織し,学習者の学習活動を活性化することができるのである。
- 日本教科教育学会の論文
- 2005-03-30
著者
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