図画工作科の造形遊びについての考察
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概要
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平成元年度の学習指導要領の改訂において,小学校図画工作科では造形遊びが4年生まで拡大された。造形遊びは従来までの美術教育の作品主義的な内容からの転換を計るために,前回の教育課程の改訂で導入された分野である。それは造形の素材に親しみ,遊びを通して自由な発想を育むものであり,結果としての作品よりも造形活動そのものを重視する考え方である。これらの造形活動では,いわゆる構成的な造形方法がとられる傾向にある。そこで本稿は造形遊びと構成の関係について述べ,その位置づけを行うものである。構成の造形方法は端的に言えば,非再現的方法である。造形遊びは造形素材と遊びのルールや目的に合わせながら非再現的な方法で造形表現を行うものであり,そうした活動を通して造形的な感覚,発想力,構想力,計画力などを育て,絵画,彫刻,工芸,デザインなどの分野と有機的に関連するものである。また,造形の基礎的内容を学習する構成学習と造形遊びは無様式という点で共通点を有している。従って造形遊びや構成の教材は表現形式として自由に開かれており,普遍的,一般的内容であるがゆえに,他の分野の特殊的内容と対峙しながら相互関連を持っていると考えられる。
- 日本教科教育学会の論文
- 1990-10-31
著者
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