音楽による感動の心理構造(II)
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概要
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この小論では,音楽による感動体験を心理的に反省し,次の点を考察した。(1)音楽による感動体験において「深層の心」まで刺激されるのは,次のような音楽の特性と機能性によると考えられる。(1)音楽リズムの単純で規則的な刺激は,「深層の心」をあらわにする作用をする。(2)音楽の表現方法は,「深層の心」と直接交信できる「音響」を媒介物にしている。(3)音楽は芸術の一つで人間の理想を表現した美的価値であることから,その刺激は日常的なものと違い「深層の心」へも及ぶ。(2)音楽による感動体験に伴う快感・喜びの感情反応は,「深層の心」の緊張が感動体験により浄化されたことによる,その心的変化の表われと考えられる。そしてこのような感動体験には,次のような経験としての特徴が見い出される。(1)音楽美によって心の総てが刺激されている「総合的経験」である。(2)対象の本質を直観している「直接経験」である。(3)旧い経験に新たな生命力を附与し生き返らせる「蘇生的経験」である。
- 日本教科教育学会の論文
- 1982-08-20
著者
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