生活保護制度における自立概念に関する一考察 : 自立支援および自立支援プログラムに関する論議を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,生活保護制度における援助に関する議論を自立概念に注目して吟味することから,生活保護制度のゆくえに関わって検討すべき点を考察するものである.生活保護制度の在り方に関する専門委員会の論議を起点とし,自立支援という観点から制度の根本的な見直しを進めるならば,自立という概念が援助の在り方と関係して問題になると考える.専門委員会で自立支援を議論する過程には曲折がみられたが,最終報告書で自立支援を定義し決着した.この定義は,自立支援プログラムの作成を通じて具体化すると考え,一例として板橋区の自立支援プログラム作成を検討した.その結果,自立に経済的自立だけでなく日常生活自立と社会生活自立を想定することは,制度の目的変更を迫るものであると考えた.見直されていく制度は,現行制度の"保護"という考えにそぐわず,自立支援の取り組みと同時に"保護"に替わる概念を構想する必要がある.
- 2009-02-28
著者
関連論文
- 生活保護制度における自立概念に関する一考察 : 自立支援および自立支援プログラムに関する論議を通して
- 生活保護の対象を選別する安否判定のしくみ : 雑誌『生活と福祉』による検討
- 「最低限度の生活」の規範 : 保護基準策定過程(1948〜69)からの検討
- 小特集2に寄せて(小特集2趣旨,イギリスのミニマム・インカム・スタンダード(MIS)を用いた日本の最低生活費研究)
- ミニマム・インカム・スタンダード(MIS法)を用いた日本の最低生活費試算 : 他の手法による試算および生活保護基準との比較(イギリスのミニマム・インカム・スタンダード(MIS)を用いた日本の最低生活費研究)
- 保護基準とはいかなる意味をもつ基準か : 生活扶助基準算定方式と標準世帯(最低賃金制度と生活保護制度-仕事への報酬と生活保障の整合性(第119回大会共通論題))