ソーシャルワークの「価値」の理論構造についての一考察 : 「自己決定の原理」がもつ構造的問題に焦点をあてて
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概要
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本論文は,ソーシャルワークの価値理論の構造的な問題を明らかにしようとするものである.従来からソーシャルワークの価値である「個人の尊厳の尊重と保障」を具象化するために「自己決定の原理」が重要視されてきたが,近年はこの原理を実現するうえでの倫理的ジレンマも多くみられる.本論文では,こうした実践のジレンマを方法や技術といった機能論的な理解ではなく,ソーシャルワークの価値理論が構造的に内包している問題に端を発するものであると考え,その問題構造を論証する・具体的には,ソーシャルワークの価値についての議論が多くみられる1990年代以降のアメリカとイギリスにおける先行研究をレビューし,そこから整理された価値の理論構造をカント哲学を中心とする近代社会思想に準拠して分析することにより,特に自己決定の原理が有している構造的問題を解明し,実践に寄与しうる新たなソーシャルワークの価値理論を,ソーシャルワーク実践を帰納的な方法で科学的に分析することにより構築する必要性を提起する.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2009-02-28
著者
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