韓国の養子制度に関する考察 : 家族規範と子どもの福祉
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概要
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本稿は韓国の養子制度について,その対象の大部分を占めている未婚母の子どもが養子になる過程を中心に分析したものである.未婚母の子どもの場合,出生届が出されないまま違法なやり方により養親の実子として届け出られることがほとんどである.本稿ではそのような養子制度の問題点を,家族法に示されている家族規範が婚外子の処遇に与える影響に焦点をあてて分析した.その結果,家族の中心となるべき夫や父親が存在しない家族はその形成が奨励されず,父親の認知を受けられない未婚母の子どもは養子縁組の対象となることが多いこと,そして新たな親子関係の創設においては,子どもを実子とし,その家族の成員としての適格性を備えた形で受け入れていることが明らかになった.民法の父系中心的な考え方が,要保護児童の福祉を目的としている養子制度にも影響しているのである.
- 2005-11-30