障害者地域生活支援センターにおける"ピア・サポート"に関する一考察 : 名古屋市M区障害者地域生活支援センターの中途視覚障害者相談記録の調査分析から
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概要
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名古屋市M区障害者地域生活支援センターでピア・サポートを受けた中途視覚障害者59人の相談記録を分析した結果,以下のことが明らかになった.相談者の大半は30〜50歳代で占められ,その多くは進行性のロービジョン患者であった.相談はADLや福祉情報提供に関する内容が中心を占めたが,中途障害に起因する心理面での苦悩が相談者に共通してみられた.さらに相談者は,失明不安,生活不安,就労不安を抱えており,精神疾患が疑われる事例も散見された.同一障害を有し,障害体験を共有する相談員は中途障害者にとって「役割モデル」であり,ピア・サポートは心理的安定,回復を促す援助となっていた.次に,ピア・サポートの限界としては,心理面の相談を多く含むにもかかわらず,医療をはじめ関連領域との連携が十分になされていない.さらに,ピア・サポートは地域差が著しく,地域を選ばない形での支援に広げることが課題として明確化した.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2005-07-31