貧困・低所得世帯への教育費支援 : 生活福祉資金貸付制度を中心に
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概要
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生活福祉資金の修学資金を利用する世帯は,収入や就労状況の点,あるいは学業成績の点で,国の教育ローンや育英会の奨学金を利用するのが難しい世帯が多い.修学資金の貸与によって,主要な制度から漏れてしまいがちな貧困・低所得世帯の子どもの教育機会が保障されている.その意味で,この修学資金は社会福祉的な役割を果たしているといえる.しかし,教育機会の保障が経済的自立にまで結びつくとは限らず,その限界はなお大きい.また,修学資金は他の教育費支援制度と同様に,利用者に最終的な負担を求めるという性格をもっている.そのため場合によっては,修学資金の利用が新たなリスクの源となる可能性もある.家族資源の格差を背景に生じる,貧困の世代的再生産を断ち切るためには,金銭的な支援はもちろん,同時に,そのような家族へのソーシャルワーク的な対応も必要である.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2005-07-31
著者
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