知的障害者家族のアイデンティティ形成についての考察 : 子どもの施設入所にいたるプロセスを中心に
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概要
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本研究は,知的障害をもつ人の家族の経験をとらえることを目的としており,具体的には,知的障害者施設の入所者の家族11人にインタビュー調査を行った.とくに(1)「障害児者の親としてのアイデンティティ」形成のプロセスはどのようなものであるのか,(2)その経験は,施設入所を決定する際の態度にどのような影響を与えているのか,という2点に注目し,分析を行った.その結果,とくに子どもの施設入所という決定をするまでの過程において,学校・地域・家族という日常世界からの「疎外」を経験すること,親の加齢による健康不安と,子どもの成長によるケアの重度化が,子どもの施設入所のタイミングを早めていること,施設入所後の語りが非常に少ないことが分かった.このことは,知的障害をもつ人の成人期における生き方や,親のふるまい方を示すモデル・ストーリーの不在を示唆している.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2004-07-31