身体障害とスティグマの諸相 : ハンセン病研究からの一考察
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概要
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本稿は身体障害に関するスティグマについて,その意味や形成の過程,さまざまな諸相を検証し,それを払拭する術を見いだそうとするものである。スティグマ研究はGoffman以来さまざまに試みられてきており,「ラベル化」や「社会的逸脱」とういう現象をとおして身体障害をもつ者は社会との関係を断たれることがわかってきている。また,周囲の人たちも「名目的スティグマ」を被ることがある。身体機能の不全に関するスティグマの形成過程は従来のよく知られたWHO障害分類(機能障害,能力障害,社会的不利)を内包する。筆者のハンセン病研究では自宅遠方の療養所を選択して移住したケースがみられ,スティグマのさまざまな諸相のなかでもネガティブな影響力が推し量られる。スティグマを克服する方法としてはWHOの新たな障害分類を考慮しながら科学的知識普及の努力,人権思想の確立,社会保障の拡充などを検討することが重要であり効果的である。
- 2002-08-31