タイ王国南部・ハンセン病患者/元患者の社会保障とQOLに関する研究
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概要
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タイ王国の南部にあるハンセン病療養所を対象(被験者:189名)に,当該療養所の現状と社会サービスの適用の現状と患者のQOL(Quality of Life;生活の質)にかかわる調査を実施した。タイ王国では1990年代より保健医療改革が進められ,社会保障制度が発展してきている。障害者ID審査合格率は73.3%(66/90)であるものの,関連する法や情報,また制度利用性を含む手続きが十分とはいえない。一方で,患者QOLに関しては,社交関係,周囲環境,地域社会への浸透の度合について客観的指標を中心にその結果は相対的に高かった。経済的な生活水準は低く,療養所という限られた範囲での生活に外界との接点は多くない状況,また当該疾病に特有の社会的偏見・スティグマを受ける状況にあって,上記社会的関係に関する彼らのQOLが保たれることは注目される。今後比較研究で社会的QOLに影響を与える要因を探究する必要がある。
- 2002-03-31