Statute of Charitable Uses(1601)に関する一考察 : 概要と論点整理を中心に
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概要
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イギリスにおける近世初期の貧困救済事業として救貧法は重要な位置を占めている。そして慈善事業に関しては,これまで救貧法の前史的扱いか,18世紀から慈善組織協会(COS)設立頃までの活動が注目されることが多かった。しかし実際には,救貧法行政の前半は慈善の強制の歴史であり,また宗教改革の影響で行き場のなくなった貧困者の救済は私的慈善家たちが担っていたのである。本稿では,この慈善活動に供せられた信託財産の濫用や不履行を取り締まり,公益的な慈善信託の効率的かつ公正な運用を定めた立法である慈善信託法(1601)の成立背景,概要,意義,限界を検討することを目的としている。今日のイギリスのチャリティ法の源流でもあり,しばしば議論される「公益」性についての枠組みや,チャリティ・コミッショナーに関する原初的な規定をここに確認することができる。そして内外の研究者によるコメントを通して,本法をめぐる論点を整理し,今後の研究課道の抽出を試みた。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2002-03-31