福祉ボランティア活動をする大学生の動機の分析
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概要
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本稿の目的は,大学生が組織に属して福祉ボランティア活動をする動機を分析し,ボランティア活動推進にあたる者が留意すると良い点を示すことである。日米の研究をふまえ,最初にボランティア活動に参加した動機と継続の動機について32の動機項目から成る質問紙を作成し,関東の7大学のボランティア組織の学生を対象に調査を実施し, 167人から有効回答を得た。「学べるから」が最も強い動機で,次に,「視野の拡大」,「人間関係の発展の機会」,「やりがいのある活動の機会」という動機が続く。因子分析を行ったところ,最初のボランティア活動参加において6つの,継続において5つの動機の次元が見出された。また,性別,学年,専攻によって動機の差異が見出された。ボランティア活動推進にあたる者は,大学生の動機として働いている諸々の欲求を満たし,動機の次元を学生の立場から活動の環境やプログラムを評価する視点として用いるならば,大学生のボランティア活動参加と継続を促進できるであろう。さらに,2つの動機の次元に基づくとき,大学生のボランティア活動の発展の方向性は,開かれた福祉コミュニティの形成と公平で民主的な社会の実現であることが示唆された。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2001-03-25