社会福祉政策の移行 : 「開発」と「民主化」の視角から
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概要
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東アジア工業国・地域には,一定の経済的発展を遂げつつも長く権威主義的な政治体制下にあり,経済発展に寄与する社会集団に手厚く分配されるという,開発指向の社会福祉政策が実施されてきた国がある。ところが,1980年代になり台湾や韓国で民主化がおこり,それにともない住民のニードに着目した制度が実施されるようになった。そこから得られた示唆は,経済的発展に応分であり,かつ普遍的な社会福祉政策の実現には民主的な政策過程が不可欠である,ということである。従って,東アジア工業国・地域における社会福祉政策の特徴は,開発指向-ニード指向という政策の価値に基づいた指向性とともに,権威主義-民主主義という政治体制によって規定される政策過程的な視角でとらえることが可能である。本稿では,これらの視角から,工業化を遂げた東アジア工業国・地域(台湾,韓国,香港,シンガポール,日本)の社会福祉政策の移行モデルを考察した。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2001-03-25