家族への政策的対応をめぐる前提的議論 : 「家族問題」と「家族」という概念構成を中心に
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概要
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家族問題に直面する家族を支援するさまざまな政策やサービスが求められているという認識は一般的なものとなってきている。しかし,そうした議論の前提として,家族問題という概念がいかなる想定のもとにあるのかということは明確にされなければならない。本稿の目的は,「家族問題」とその対象としての「家族」という概念を検討することである。まず,家族問題の概念の定義についてのいくつかの論拠を取り上げる。次に,今日の家族をとらえる二つの視点について整理をおこなう。「家族問題」の理論化は,家族間題自体の類型やその認識基盤だけでなく,われわれが家族間題をいかに認識し,また社会においていかに位置づけられているかについての社会的構成を問う視点がもとめられる。さらに,今日の家族へのアプローチは,各個人の関係性を前提とする集団として把握されなければならない。本稿では,家族問題への政策的対応を(個人ではなく)家族として取り組む視点を考察する。そうした分析にとって,「家族ストレングス」の概念は,近年の家族ソーシャルワークや実践に有効な考え方として注目される。
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2000-07-10