河口循環流と潮流 : 潮流の鉛直分布に対する重力循環の影響の可能性(シンポジウム:内湾環境における河口循環流の役割)
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概要
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東京湾や有明海などの閉鎖性水域では,湾奥から比重の軽い河川水,湾口から比重の重い外洋水の流入があり,その密度差によって河口循環と同様に重力循環ができている.成層の発達した弱混合の時は,流れは密度流となって上下層で流れの差が著しくなるとともに,湾央部では水平循環流が発達する.一方,潮流は,もともと潮汐力が駆動することから上下層の差は小さいはずであるが,実際に観測してみると,季節などによって成層状態や密度分布が異なると,潮流の強弱だけでなく,下層ほど潮流が大きくなったり,逆に下層ほど小さくなるなど鉛直分布に特徴的な違いが現れる.この違いの原因は今のところ不明であるが,時間的に変化する重力循環仮説を考えると,上げ潮時に重力循環が強くなると下層ほど潮流が大きくなり,逆に上げ潮時に重力循環が弱くなると下層ほど潮流が小さくなることが説明できる.潮流数値計算と観測結果の比較や,新旧の潮流観測比較などの際は,このような潮流鉛直分布の相違と重力循環状況の違いにも留意する必要がある.
- 日本海洋学会の論文
- 2007-02-28
著者
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