海水温上昇が及ぼす魚類の行動変化の予測(シンポジウム:地球温暖化と沿岸海洋)
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概要
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海水温の上昇による魚類行動の変化を予測する基礎的知見を得るために,沿岸性海産魚類の選好温度を垂直・水平温度勾配反応試験装置を用いて測定した.浮魚類では,温度勾配の中で特定の温度領域を選択する行動(温度選好)が認められたが,底魚類では必ずしも明瞭ではなかった.温度選好が認められた30種について,馴致温度と選好温度の関係から最終選好温度を推定したところ,8〜32℃の範囲であり,各魚種の地理的分布を反映していたが,スズキLateolabrax japonicus,クロダイAcanthopagrus schlegeli等,温排水放水口近傍に集まる性質がある魚種では著しく高い値(29〜30℃)となった.発電所周辺海域における魚類観察調査の結果,ギンガメアジCaranx sexfasciatusは,ほぼ周年にわたって温排水放水口近傍に蝟集するが,放水口近傍の水温が最終選好温度(29.5℃)を上回る時期のみ,放水口近傍よりも水温が低く,最終選好温度に近い場所にまで出現範囲が拡大することが確認され,選好温度は,魚類の水温変化に対する行動を予測するうえで重要な情報であることが示された.
- 2005-02-25
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