沿岸親潮域に生育するコンブ属植物の分布と栄養塩要求特性(シンポジウム:沿岸親潮)
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概要
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我が国におけるコンブ属植物の分布は北海道および本州北部に限られているが,沿岸親潮域に生育する種は,その生産量も高く産業的に重要な位置を占めている.一般的にコンブ属植物の分布域の違いは,水温に基づいて説明されている.本シンポジウムでは,北海道太平洋岸に分布するコンブ属植物4種について,胞子体の成熟における栄養要求特性と分布との関連性について考察した.その結果,親潮の影響を強く受ける海域に分布するナガコンブやミツイシコンブ(寒流系コンブ)の成熟部位は,高い栄養塩含有量を持っているにもかかわらず,低い繁殖努力を示した.これに対し,親潮の影響の少ない海域に分布するマコンブやホソメコンブ(暖流系コンブ)の成熟部位は,低い栄養塩含有量を持っているにもかかわらず,高い繁殖努力を示した.これらのことは,マコンブやホソメコンブは繁殖にかかるコスト(栄養要求量)を抑えることで,その環境での再生産を可能にしていると考えられる.
- 2003-08-26
著者
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水田 浩之
北海道大学大学院水産科学研究科
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水田 浩之
北海道大学大学院水産科学研究院
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水田 浩之
Laboratory Of Breeding Science Graduate School Of Fisheries Science Hokkaido University
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水田 浩之
海道大学大学院水産科学研究科育種生物学講座
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