噴火湾石倉沖の数日周期水温変動

概要

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噴火湾南西側の石倉沖に設置された観測ブイのサーミスタチェーン記録(1997年の1年分)を解析した結果,成層期において数日周期の水温変動が捉えられていた.水温のパワースペクトル解析から,2-6日,約8日,13-21日周期変動の卓越が認められた.湾軸方向(NW-SE)の風成分と水深35mの水温とのクロススペクトル解析結果から,これら数日周期変動は湾内の風によって起こされると推定された.しかし,両者の位相関係をみると,高周波領域(1-4日周期)では風が水温よりも先行し,低周波領域(>4日周期)では水温が風よりも先行している.そこで,風の周期強制の違いによる水温応答を調べるために,強制内部ケルビン波による傾圧成分のみを考慮した簡単なモデルを用いた.このモデルでは,符号の異なる2つの内部ケルビン波が湾の北東側と南西側で励起され,一定の伝播速度(Ci=0.35m/s)で岸を右手にみながらそれぞれ伝播する.このモデル解析の結果,上記の位相関係は南西側の岸に沿って伝播する強制波と北東側の沿岸で励起されて伝播して来た自由波の重ね合わせで説明できることがわかった.
日本海洋学会の論文
2002-02-22