津波(シンポジウム:急傾斜海岸の海洋環境と開発)
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概要
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急傾斜海岸における津波の考察の中心は,波源が少しずれても,水深の深いところで生じたもの(明応タイプ)と浅いところで生じたもの(安政タイプ)に分かれることである.前者は秋田タイプの津波(1983年等)で破壊力が強く,後者は新潟タイプの津波(1964年等)で破壊力が弱い.この違いを決定するパラメーターはa/√gh(aは地変規模,gは重力加速度,hは水深)であり,時間の単位を持つ.日本社会が気づかなかったquick sand現象が目立った新潟地震によって起こされ,盲点に入った津波の記述を行い,両タイプの比較に役立てた.急傾斜海岸の中でも駿河湾の場合,慶長9年(1605年)の津波の波源が2個分離型か,1個に合体型であったかの考察も省略できない.また最悪の明応タイプの津波が襲来した場合でも,「津波に叩きつけられる前に,津波の中に入る」という,対策思考の転換を導入した.
- 日本海洋学会の論文
- 1988-08-31