東京湾における流動と底層DO濃度シミュレーション(シンポジウム:東京湾の環境回復への提言)
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概要
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東京湾の流動場および底層貧酸素水塊の消長について4層の数値モデルを用いて解析した.流動場の特徴は次のとおりである.(1)潮汐(M_2潮)残差流は,湾口部を除き微弱である.(2)湾奥部の平均流は密度流,吹送流により形成されている.(3)第2層(2〜5m),第3層(5〜10m)にみられる時計回りの循環流は密度流により形成される.(4)湾央部から湾奥部に顕著な下降流がみられ,この下降流が湾奥部の底層貧酸素化の大きな要因であるものと考えられる.物質循環モデル(N,P,COD,DO)を用いた水質の解析では,(1)無風状態において最下層に2.0mg/l以下の貧酸素水塊が湾奥部全域に形成される.(2)無風状態を初期条件として,2日間北東風を連吹させた計算では第1層(0〜2m層)において青潮現象とみられる3.0mg/l以下の貧酸素水塊の湧昇がみられた.(3)また,南西風を2日間連吹させたケースでは底層の貧酸素水塊が湾中央部に移動する結果となった.また,多摩川河口部表層より懸濁粒子を投入し,どの場所に堆積するかを粒子追跡モデルを用いて検討した.その結果,20日後には約70%の粒子が湾奥〜湾中央部に堆積することが明らかとなった.最後にどの程度の流入負荷量を削減すれば底層の貧酸素化を防止することができるかをボックスモデルにより検討した.その結果,底層DO濃度を2ml/l(2.86mg/l)以上にするには現況(昭和55年度)に対し約50%流入負荷量を削減する必要があることが明らかとなった.
- 1991-02-28
著者
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