海底境界域における沈降・再懸濁(シンポジウム:物質輸送とスキャベンジング)
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概要
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燧灘では,海底表面の新生沈積物の巻き上げによって生じた海底高濁度層が夏の間広い範囲にわたって観測されるので,再懸濁物の分解過程について調べた.表層から底層への全沈降物の沈降フラックス(FTS)と沈降有機炭素のそれ(FCS)をセジメント・トラップで測定した.全沈降物の堆積フラックス(RT)と沈降有機炭素(RC)のそれを底質中のPb-210と有機炭素の鉛直分布から見積った.FTSは1.3〜10.6(gm^<-2>day^<-1>)の範囲でありRT(4.1〜10.4gm^<-2>day^<-1>)にほぼ等しかった.しかしながら,海底表面の沈積物はただちに底質となるわけではなく潮流によって簡単に巻き上げられた.巻き上げフラックスは222〜461(gm^<-2>day^<-1>)の範囲であった.FCSとRCの差から,再懸濁物が海底近くで巻き上げ沈降を繰り返している間に,再懸濁物中の有機物の50〜80%が分解してしまうと堆定された.
- 日本海洋学会の論文
- 1990-08-31
著者
-
星加 章
中国工業技術試験所
-
谷本 照己
産業技術総合研究所
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星加 章
産業技術総合研究所
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星加 章
中国工業技術研究所
-
塩沢 孝之
中国工業技術試験所
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谷本 照己
中国工業技術試験所
-
川名 吉一郎
中国工業技術試験所
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