三河湾における貧酸素水塊の形成機構(シンポジウム:貧酸素水塊)
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概要
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三河湾の東部に位置する渥美湾では,近年夏期には常に貧酸素水塊が形成される。この貧酸素水塊の形成機構が,窒素と溶存酸素の収支のボックスモデル解析,流れの数値シミュレーション,窒素と溶存酸素の分布の連続観測及び栄養循環のモデル化の方法によって検討された.その四つのいずれの方法によっても次のような結果が示された,すなわち(1)河口の上層では,河川流入に加えて強い湧昇によって懸濁態窒素の高い生産がある,(2)湾口の下層では,弱い湧昇と時には沈降流により懸濁態窒素の沈降と分解が卓越する,(3)湾口の下層における懸濁態窒素の分解に伴う酸素消費が貧酸素水塊を形成している.さらに,陸からだけでなく,伊勢湾下層からも栄養塩が渥美湾へ流入している可能性が示されたので,渥美湾の貧酸素水塊を改善する環境管理は,伊勢湾と三河湾を一体として計画されるべきである事が示された.
- 日本海洋学会の論文
- 1989-02-28
著者
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