駆動振動子群の創発構造

概要

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細胞の内部状態の変化は,細胞群の集合形態や機能の変化をもたらしうる.非平衡下にある分子は,分子の内部状態の変化が,分子群の創発構造に影響を与えうる.このような内部状態を持つ素子の集合体に潜む,未知の数理構造を明らかにできれば,細胞集合体の機能コントロールや,有益な物性を持つ分子集合体創成に役立つだろう.未知の普遍的数理構造を明らかにするには,各々の系固有の事情を大胆に無視する数理モデル化が,しばしば有効である.この適切な "無視" を実現する数学手法の 1 つが縮約である.本稿では,この縮約を用いて,1 つの数理モデルを導出する.導出されたモデルは,その単純さにもかかわらず,豊富な創発構造を呈する.いくつかの解析結果と広範な応用可能性も議論する.なお,このようにして得られるモデルは,具体的な系の詳細を説明できない代わりに,広く適用可能な抽象的数理概念の発見に役立つものである.発見された新奇概念に,系の詳細を考え合わせれば,その有益性は測り知れない.
一般社団法人情報処理学会の論文
2009-02-20