遷延する牛乳アレルギーの予後に関連する因子の検討

概要

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【背景】牛乳アルギー児の予後とそれに関連する因子を検討した.【方法】当科を2歳未満で初診して牛乳アレルギーの確定診断を受け,なおかつ2歳未満で耐性を獲得しなかった児60名について,5歳未満における少量(牛乳30ml)摂取可否とそれに関連する要因を後方視的に調査した.【結果】5歳未満で少量摂取可能となった者は27名(45.0%),摂取不能者は33名(55.0%)(以下それぞれ少量摂取可能群,摂取不能群)であった.0歳から5歳までに負荷試験あるいは誤食により経験した誘発症状は,少量摂取可能群では皮膚症状単独,摂取不能群では呼吸器症状と消化器症状が有意に多く認められた.経過中の牛乳特異的IgE抗体価は,少量摂取可能群では0歳から年齢と共に低下傾向を認めた.一方摂取不能群では,抗体価の最高値が少量摂取可能群より有意に高く,0歳から1歳で有意に上昇した後,3歳まで低下傾向を示さなかった.【結語】牛乳特異的IgE抗体価の持続的な高値と,呼吸器・消化器症状の誘発症状の既往は,遷延する牛乳アレルギーを予測する指標になることが示唆された.
2010-11-30