マルチコア向け並列プログラミングモデルの設計と実装
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概要
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本発表では,マルチコア向け並列プログラムの実装方法として,多くの非永続スレッドをコンピュータの命令語と見なし,コンパイラの最適化やスーパスケーラにおける命令レベル並列処理のメカニズムをスレッドの並列実行に適用するというプログラミングモデルと実行モデルを提案する.アルゴリズムを直列に同期なしで実行する複数の直列基本モジュールと,これらのモジュールの並列実行を制御するための並列動作記述に分割して実装する.直列基本モジュールは,C言語などによって実装して高い性能を確保する.並列動作記述は,直列基本モジュールを関数として定義し,関数の引数と返り値によってデータの入出力を表現する.実行順序は,この記述における直列基本モジュールの[定義-参照]による依存関係のみによって決定される.並列動作記述は,トランスレータによってランタイムが利用するグラフ生成情報に変換される.ランタイム環境は,利用するコアの数のネイティブスレッドを生成し,これらのネイティブスレッドが順番交代でグラフ構造を生成,アップデートしながら,次に実行するべき直列基本モジュールを決定して,これを呼び出す.このランタイム処理を「スレッドインタプリタ」と呼ぶ.スレッドインタプリタの最初の単純な実装は,ランタイム処理を排他的に実行するものである.直列基本モジュールのパラメータやアルゴリズムを,入力データの性質による計算量の増減やシステムリソース使用量の変動に,動的に適応させる「オートチューニング機能」をスレッドインタプリタに組み込み,高い計算効率と安定したリアルタイム性を実現した.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2008-09-26
著者
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境 隆二
株式会社東芝デジタルメディアネットワーク社コアテクノロジーセンターエンベディッドシステムコア技術開発部
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島田 智文
株式会社東芝ディジタルメディアネットワーク社コアテクノロジーセンター
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加藤 宣弘
株式会社東芝ディジタルメディアネットワーク社コアテクノロジーセンター
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境 隆二
株式会社東芝ディジタルメディアネットワーク社コアテクノロジーセンター
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保科 聡
株式会社東芝PC&ネットワーク社PC開発センター
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保科 聡
株式会社東芝pc&ネットワーク社pc開発センター
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