先進医療「X線CT画像診断に基づく手術用顕微鏡を用いた歯根端切除手術」の治療成績

概要

論文の詳細を見る
本研究の目的は,先進医療で行われた歯根端切除手術の治療成績を調べることである.2007年9月から2009年5月までの間に東京医科歯科大学歯学部附属病院むし歯外来を受診し,先進医療での治療に文書で同意した患者51名の68歯に対して,歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置3DX Multi-image micro CT(モリタ,以下,3DX)撮影後,症例検討を経て歯科用実体顕微鏡(Opmi-pico,Zeiss,Germany)を用いて歯根端切除手術を行った.治療は5名の歯科保存治療専門医が行った.先進医療で行われた歯根端切除手術による患歯の生存率は97.1%であった.術前と経過観察時のデンタルX線写真上で,被験歯の根尖病変を評価したところ,成功率は92.1%であった.痛みおよび瘻孔の存在は,術前にはそれぞれ73.9%および47.8%に認められたが,経時的に減少し,6ヵ月後には34.2%および7.9%となり,統計学的な有意差が認められた(p<0.05).先進医療で歯根端切除手術が行われるようになり,手術の適応がより厳密に検討されるようになったことも成功率の向上に寄与したと考えられた.本法は,瘻孔や根尖病変の改善には有効であったが,痛みの改善には有効とはいえなかった.
2010-02-28