コーポレート・ガバナンスとEU型経営システム統合 : 調和と統合、そして創造へ
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概要
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1968年から継続して制定されているEU調和指令によって、EU加盟各国の経営システムが調和された。2001年に制定された欧州株式会社法(SE法)によって、EU加盟各国の会社制度を統合したEU型経営システムが生み出された。これにより、EU加盟各国の経営システムに共通性が芽生えると同時に、会社経営に高度な自由という息吹が埋め込まれた。このようななか、本来ならばEUにおける経営システム統合に関する研究に注目が集まるべきである。しかし、EUにおける経営システム統合を、企業レベルで検討した研究は、ほとんどなされていない。そこで、本報告は、EU域内で事業活動を営む会社のコーポレート・ガバナンスを中心に取りあげ、EUにおける企業経営実践の経営システム統合を検討する。その上で、EU型経営システム統合における調和と統合、そして創造のプロセスまでをも明らかにすることを目的とする。経営システム統合を実施した企業のなかには、自国に存在しないコーポレート・ガバナンスを採用する場合や、独特なコーポレート・ガバナンス体制を運営する場合が多々ある。たとえば、ドイツに本拠地を置きつつイギリス型の一層型企業経営機構を採用する場合や、2つの経営意思決定機関を設置する場合など、を例示できよう。いうならば、今までにないコーポレート・ガバナンスの在り方を求める複数の会社が現れたのである。このことは、高度に国際化した市場のなかで、長い歴史を持つ株式会社の根本的な存在自体が変化していることを意味しているのではないか、という問題意識も本稿の基底にあるのである。
- 2010-10-29
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