弾塑性梁における不静定問題について
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概要
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任意の応力〜歪特性を有する材料からなる梁に関する一般の不静定問題を解くことは,弾性梁や極限解析のような理想化された場合以外は基礎方程式の非線型性のため,それらに較べて一般に困難であり1 spanの両端固定梁などの簡単な場合以外の研究は見当らない。これに対し著者の一人は鋼材について弾性域および塑性域における応力〜歪特性を,電子計算機により数値的にSimulationを行ない.これをもとにして荷重履歴も考慮した弾塑性梁の応力および歪の解析を行ない,その結果を前報告において述べた。この方法は原則的には梁の不静定問題にも適用が可能であり,両端固定梁等の例についての解法を示したが,その際用いた中型の電子計算機(九州大学設置のOKITAC 5090H)によれば1回の計算に数十分以上を必要とする場合が多く,しばしば実用的でない例に遭遇した。本報告では実用的な設計問題に応用することを目的として材料が焼鈍された状態から出発して増大する荷重を受けた不静定梁に生ずる最大の応力,歪および撓み等を求めるため変形理論を用いた鋼材の応力〜歪関係を出来るだけ一般的な表現が出来る形式の数式で表わし,これに基づいて軸力のない場合の梁の一般的な曲げモーメント〜曲率関係を求め,撓みやその勾配を求めるため出来るだけ数式的な積分を行なつて数値積分を行なう部分の減少を計り,所要計算時間を減少させることを試みた。これにより一般にLoopによる反復計算時間の短小化を実現し,多次不静定弾塑性問題の解法の実用化を計つたものである。また今後更に大型の電子計算機の導入により前報告で述べた応力履歴を考慮した一般性のある純数値的方法をこのような多次不静定問題に適用する際にも,この方法は部分的にRoutineの一部として使用することが出来,特に高次不静定構造に対する大型高速電子計算機の活動可能な範囲を更に拡大するためにも役に立つものと思われる。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文
- 1967-02-28
著者
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