世界各地の気象条件に基づく期間熱負荷と建物外皮設計評価に関する研究 : 第2報-アジア地域における年間熱負荷分布地図
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概要
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本報は,建物の年間熱負荷をよりグローバルな視野で把握するために,前報の略算法を利用し,アジア地域にある303地点において,三つの事務所建築空間と四つの住宅の年間熱負荷を求めた.さらに,アジア地域における年間熱負荷の地理的分布特性を直観的に把握できるように,303地点の計算値を地図上に記入して,年間熱負荷の等高線を描いてみた.これらの分布図から,次のような結果が得られる.1)寒冷地方においては,建物の断熱が省エネルギにとって非常に有効である.特に内部発熱が少なく建物の規模が小さい住宅においては,建物の熱負荷は室内外温度に直接的に反応するため,その断熱は内部発熱の大きい事務所建物より重要である.2)温暖地方,特に熱帯地方においては,建物の断熱は省エネルギに多少有効であるが,それ以上に日射遮へいが重要である.ベランダ・ルーバ・植木などを利用して日射遮へいを工夫すれば,年間熱負荷を日本地域の程度まで軽減することが可能である.3)冷・暖房の双方を必要とする中間温暖地帯においては,断熱と日射遮へいのバランスのとれた最適外皮設計を考慮する必要がある.最後に,分布図上の誤差の改善策,世界分布図の継続作成など,今後の課題について述べた.
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 1985-02-25
著者
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