世界各地の気象条件に基づく期間熱負荷と建物外皮設計評価に関する研究 : 第1報-月平均気象データに基づく期間熱負荷略算法
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概要
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建物における期間熱負荷の予測に関して,今までに開発されてきた多くの略算法は"標準気象データ"を使用しているため,"標準気象データ"が整備されていない地域においては,その略算法の実行は不可能となっている.これに対処するため,本報では,日最高気温月平均値,日最低気温月平均値および月平均日射量など36個の月平均気象データだけを利用した略算法の開発を試みた.本略算法は簡潔な一次元重回帰推定式から成っており,熱負荷計算の専門知識のない一般の建築設計者でも,これを利用して建物外皮の熱的性能の評価をすることができる.本報の内容を要約すれば,次のとおりである.1)24個の月平均外気温,12個の月平均日射量,および三つのcos変動曲線に基づいて計算されたデグリーアワー(DH)と日射カロリーアワー(CH)を用いて,実際の年間室内外温度差と日射取得量を正確に把握することができる.2)1)中の二つの気象変数DH,CHと熱損失係数L,日射取得係数μおよび熱容量Cなど,三つの建物変数から成る一次元の重回帰式で,事務所建物と住宅の期間熱負荷を高精度で推定できる.3)日本全国だけでなく,亜熱帯の台湾においても,2)中の諸回帰式の適用性が証明された.4)本略算法の入力月平均気象データは,世界各地の気象観測機関から簡単に入手できるため,期間熱負荷を指標として,グローバルな視野で建物外皮設計の比較評価を行うことができる.最後に,本略算法の信頼性を向上させるために,本略算法の気象変動基本仮定における改善方法,および日本・台湾以外の諸外国地域の継続研究課題について述べた.
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 1985-02-25
著者
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