高圧ヘリウム混合ガス環境における皮膚面からの蒸汗量
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概要
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高圧ヘリウム混合ガス環境における皮膚面からの蒸汗量に関して検討するために,局所蒸汗量の測定を基礎に皮膚温・ぬれ率・温冷感などの関係を求めた.そこで,測定器として湿流計を試作し,その特性を明らかにした.湿流量(湿流計で測定した蒸発量)が,付属させるカプセルの高さに反比例すること,また,周辺気流の影響は受けないが,実際の蒸発量は周辺気流速に比例して増加するために,実際の蒸発量が湿流量より大きくなることを確かめた.これらの特性を考慮して,常圧空気環境における裸体・仰臥位安静の男子1名を対象に,種々の気温に対する局所蒸汗量の測定を行った.大腿・下腿・額では蒸汗量が大きく,その増加率も大きいこと,また,発汗開始時の平均皮膚温は34〜35℃,気温は30℃前後であることを確かめた.そこで,これらの資料を基礎に4ATA混合ガス環境における皮膚面からの蒸汗量を,裸体安静の男子2名を対象に測定した.局所蒸汗量・全蒸汗量ともに,同一皮膚温および平均皮膚温において,常圧空気環境(椅座位・安静)と比較して多少小さい結果を得たが,仰臥位・安静の資料とほぼ近似した傾向を示した.これは,常圧空気環境における風速が大きかったためと解釈し,高圧ヘリウム混合ガス環境における蒸汗量およびその変化は,常圧空気環境と有意な差は生じないものと判断した.また,同一皮膚温に対するぬれ率が常圧空気環境と比較して大きくなり,ぬれ率と温冷感との関係が常圧空気環境におけるそれらとよく対応していることを確かめた.さらに,同一平均皮膚温に対する温冷感が暑い側へ偏ることを示した.
- 社団法人空気調和・衛生工学会の論文
- 1982-06-25
著者
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